開設20周年特別寄稿 軌 跡
はじめに
 
 サイトを開設して20年、バスに興味を持ち始めてからは50年近くとなりますが、その間、特に興味を持ち始めた初めの数年間は岩手のバスにとっては激動の時代となりました。そういった中で地元のバスを見つめ続け、インターネットに接続した2000年からはバス趣味への自分自身の環境も大きく変わり始めました。
 その後、それなら自ら発信もしようと考えていくようになり、構想・準備期間経てサイトを立ち上げたのが2003年5月1日。その前後の20数年間にかけては実際に行動しながらバス趣味に対する考え方も少しづつ、変わるようにもになりました。
 
 開設20周年を機に、この20年間、そこから遡り自身の幼少期を振り返り、バス趣味を持つようになった理由、書籍との出会い、インターネットへの接続をきっかけに変わりはじめた趣味活動、さらにはサイトの立ち上げに至るまでについて、自ら寄稿してみることとしてみました。
 
1.何故バスに興味を持ったか

 

1-1.普段から目に付く環境だった…

 

私の幼少期は、路線バスのみならず、スクールバス、その他でも頻繁にお馴染みのバスが見られる環境でした。幼稚園のスクールバスでも、園庭には路線型車輌がズラリと並ぶ光景が毎日繰り広げられていました。

しかしながら、幼稚園に集まってくる路線型車輌のバスの台数も徐々に減り、ついにはバスそのものが来なくなり、通園手段は徒歩か自家用車による保護者の送迎へと、変わってしまいました。

 

1-2.色とりどりのバス そして青銀カラーの衝撃

 

小学校へ上がると、路線バスを使って通学することとなり、バスというものはすっかり日常の一部となったのです。その6年間の間には、岩手中央バス・花巻バス・岩手県南バスの3社が合併し岩手県交通が誕生したという、歴史的な出来事を目の当たりにすることとなりました。

私の地元では、元々旧3社のカラーに加え、旧花巻電鉄カラー、当時は花巻バスカラーの別バージョンと思い込んでいた神奈川中央交通カラーも目にすることが出来ました。さらに合併後は青銀の岩手県交通カラーが加わり、地元では様々なカラーバリエーションの全盛期?となったのです。他にも当時の花巻観光バスカラーを花巻バス「風」にアレンジした「なんちゃって花巻バスカラー?」も存在していたりと、挙げるとキリがないかもしれません。

それでまでは「赤」系統が使われていることが多かった、この地域のバスのカラーでしたが、岩手県交通カラーはそのイメージを打ち破る「青銀」で、新風を吹き込んだ衝撃すら覚えただけでなく、「合併して新会社が誕生したんだ」という実感がようやく湧いてました。

 

1-3.バスのカラーへの疑問

 

普段から目にしていた様々なバスのカラーでしたが、子供心に「ある」疑問が沸いてきました。家や図書館で見た「のりもの図鑑」の1ページを見て「この色、昨日盛岡で見たバスと同じカラーだ行き先は、池袋駅?」「普段通学で乗っているバスとほとんど同じカラーだ。窓下の帯の色だけ違うけど」図鑑と現実のそれぞれの世界、その境目が無くなりそうになった一瞬でした。

そのときに見た一瞬はわからなかったのですが、そう、その写真は岩手中央バスや花巻バス、岩手県交通ではなく、実は首都圏を走っていたバスの写真だったのです。

 

2.通学をしているうちに

 

2-1.よく見てみると

 

以前から、通学を通して子供心に感じていた疑問が、新しく入った車なのに「波型デザインのボディはお世辞でも綺麗じゃないな」とか「退色し色褪せた赤いビニールの座席は何故なんだろう?」といった疑問でした。

その当時の幼かった自分は頭の中に「中古車」という概念が無かったので、不思議で仕方なかったのですが、後に自分の家で「中古車」を購入したことにより、新車ではない車も流通しているということも、そのとき初めて知ったのです。その後、通学中に何気なく、車内に残っていた表示類を偶然見つけ「神奈川で使っていたバスだ!」とわかり、自己満足ではあるものの、前述の図鑑を見たときに抱いた疑問が解決したりとか、同じように見えるバスでも「何番と何番が新車で、どれとどれが譲受車」といったように、バリエーションの違いが少しずつわかるようになってきました。

 

2-2.バリエーションの多さとその背景

 

そして上記のあたりから、本格的にバス興味を持ち始めたように思います。その理由としては冒頭で述べたように、県内のバス事業者3社が合併して岩手県交通が誕生した、ということがありますが、当時幼かった自分はその背景はよくわからなかったというのが正直なところでした。

ごくまれに、待てど暮らせどバスが来ないということがあり、その背景について、当時子供だった自分でも何となくわかってはきたものの、詳細については書籍等で詳しく載っていることもあり、ココでは割愛します。

 

3.そういえば

 

3-1.昭和の時代のバス車内…

 

純粋なスクールバスというものには乗ったことがないのでわかりませんが、昭和のこの当時、路線バスで通学していると、車内は今よりもかなり混雑しており、特に登校時の朝は身動きが出来ないことも普通にありました。

一方、下校時は座れることも比較的多かったのですが、友だち同士での話がちょっと賑やかになってしまい、乗務員さんや周りの大人に注意されたりとか、顔見知りでなくとも大人としてしっかりと注意できるという時代だった、ということもひとつの思い出です。大袈裟な表現かもしれませんが、公共の空間の中という路線バスの車内はひとつの社会勉強の場であったような気もします。

 

3-2.なんで「運転手さん」なの?

 

話がいきなり現在に飛んでしまい恐縮なんですが、これを書いているうちに思い出したのが、現代でもバスに乗っていると時々目にし、違和感を覚えるのが、幼い子供を連れている若いお母さんが「運転手さんに怒られるからやめなさい!」と子供に注意している光景です。それもお母さんだけでなく、おばあちゃんも同様です。別に運転手さんのことを引き合いに出す必要は無いだろうと

あるラジオ番組を聞いていたら、岩手県内での話ではなかったのですが、「運転手さんに怒られるからやめなさい!」と子供に言ったら、運転手さんがマイクで「私は別に怒りません。親御さんがきちんと注意してあげてください」と言った、という話を聞いたことがあります。妙に納得した話でしたが、こういう人って家では「お父さんに怒られるからやめなさい!」とか、「おばあちゃんに怒られるからやめなさい!」って言うんでしょうか(^_^;)。そのような話はまず聞いたことがありませんし、自分がバス通学をしていた頃、時々注意されたことはありますが「運転手さんに怒られるから」と言われた記憶もありません。

この類の話は、一応ネットで調べてみましたが、自分では子供へのコントロールが難しいから、結局他人の力を「無断で」借りようとするのと同じであり、しかも親の存在感を自ら下げることとなり教育上勧められない、という意見が多かった反面、車内という空間を管理しているのは運転手さんだから、親が「運転手さんに」言うこと自体はおかしくない、という意見もあるので、難しい議論かもしれません。

 

(つづく

2023.5.20 開設
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